2010年04月28日

食い別れ

和歌山県大地町で行なわれているイルカ漁を告発した

米映画「ザ・コーヴ」がアカデミー賞の

長編ドキュメンタリー賞を受賞したことに

大きな波紋を呼んでいます。

撮影の際にイルカ漁を隠し撮りされたことも地元の住民の反発を招いている

のですが、古来より続く伝統的な食文化を理解することなく、

一方的に批判することは片手落ちの感が否めません。

食文化はこの国や地域の歴史そのものですから自分自身が持ち合わせて

いない文化や価値観に出会った時に

「相互に食文化を尊重する精神が必要だ」

だと思います。



さて、お葬式こそ古来より続く伝統的な食文化の宝庫です。

お葬式においては飲食が非常に重要な意味を持っており、総じて

「食い別れ」の文化を形成しています。

通夜ぶるまい・出立ち料理・精進落としと言った料理は

それぞれが意味をもっており、そのひとつひとつが

葬送文化そのものです。



お葬式で食するものすべてが「食い別れ」です。

飲食は人間との交わりを象徴するものものですから、亡くなった方と共に

食事をすることによって、死者と最後の交わりをし

「別れ」を行なったものと考えられています。

ですから、亡くなった方のお膳を用意することもあります。

また、飲食は亡くなった方の魂を鎮め、死の穢れに対抗し、

これを祓う力がある
と信じられています。



最近のお葬式の現状では葬儀の「食」文化もだんだんと省略されたカタチの

お葬式を望まれるお客様が増えてきています。

しかしながら、亡くなられた方と最後に共にする食事である「食い別れ」

は供養という観点で考えると決して省略することは良いことではありません。

せめてお葬式の時くらい現代社会では滅多に集まらない親族や葬儀関係者と

「食い別れ」の供養を行なって頂きたいものです。

古来より伝わる伝統的な日本の葬儀の食文化。

日本人である以上、次の世代に文化を継承していく責任は

誰しも持っているのではないでしょうか。







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Posted by フューネ三浦 at 09:10 │コメントをする・見る(2)お葬式の知識
この記事へのコメント
食について、なるほどと考えさせられるコメントでした。
ところで、質問をさせていただきたく願うポイントがいくつかありますので、もしチャンスがありましたら、記事の中で、あるいは、何かの形で御答えをいただければ幸いです。
 誰かが亡くなった時、白い着物を着せられることが多い様子ですけれど、女性にはピンクやラベンダーなどのカラーを着せたいと願っています。海外の葬儀では、どのような衣服を着せて納棺することが慣例ですか?一人暮らしの老父母だと、死後、警察が入り、検死の手続きがされ、最後は着衣が無いまま、葬儀社などの迎えを待つと聞いています。以前、亡くなられた一人暮らしの女性は、ご遺体に故人愛用のピンクのソフトスーツをと考えていたのに、時間に間に合わなかったせいでしょうか?葬儀社のほうから白い着物を着せてくださっていました。もしできることなら、見送る側が故人の意志を尊重した服装を、と願います。白い着物以外で、葬儀社で扱っていらっしゃるドレスがあれば、お教えください。
Posted by いつか、送られる側 at 2010年04月30日 00:33
いつか、送られる側さま
ご質問をいただきありがとうございました。
ご質問の回答はわかりやくご説明するとあまりの
長文になってしまう為、後日記事として回答させて
頂きます。
端的に回答いたしますと、何色の着物でもOKです。
若い女性が亡くなった時にウエディングドレスを着せて
あげたこともありますよ。
もちろん、フューネではピンク色の仏衣もご用意させて
頂いています。
私が考えるベストの着物は故人のが生前愛用していた
お召しものを着せてあげることです。
Posted by フューネ三浦 at 2010年04月30日 08:32
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