食い別れ
和歌山県大地町で行なわれている
イルカ漁を告発した
米映画
「ザ・コーヴ」がアカデミー賞の
長編ドキュメンタリー賞を受賞したことに
大きな波紋を呼んでいます。
撮影の際にイルカ漁を隠し撮りされたことも地元の住民の反発を招いている
のですが、古来より続く
伝統的な食文化を理解することなく、
一方的に批判することは片手落ちの感が否めません。
食文化はこの国や地域の歴史そのものですから自分自身が持ち合わせて
いない文化や価値観に出会った時に
「相互に食文化を尊重する精神が必要だ」
だと思います。
さて、お葬式こそ古来より続く
伝統的な食文化の宝庫です。
お葬式においては飲食が非常に
重要な意味を持っており、総じて
「食い別れ」の文化を形成しています。
通夜ぶるまい・出立ち料理・精進落としと言った料理は
それぞれが意味をもっており、そのひとつひとつが
葬送文化そのものです。
お葬式で食するものすべてが「食い別れ」です。
飲食は人間との交わりを象徴するものものですから、亡くなった方と共に
食事をすることによって、死者と最後の交わりをし
「別れ」を行なったものと考えられています。
ですから、
亡くなった方のお膳を用意することもあります。
また、飲食は亡くなった方の
魂を鎮め、死の穢れに対抗し、
これを祓う力があると信じられています。
最近のお葬式の現状では葬儀の「食」文化もだんだんと省略されたカタチの
お葬式を望まれるお客様が増えてきています。
しかしながら、亡くなられた方と最後に共にする食事である
「食い別れ」
は供養という観点で考えると決して省略することは良いことではありません。
せめてお葬式の時くらい現代社会では滅多に集まらない親族や葬儀関係者と
「食い別れ」の供養を行なって頂きたいものです。
古来より伝わる伝統的な日本の葬儀の食文化。
日本人である以上、次の世代に文化を継承していく責任は
誰しも持っているのではないでしょうか。
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