お亡くなりになられた瞬間から、腐敗が進むという現実がある以上、
ご遺体の保存という観点は特に注意をしなければなりません。
特にこの時期のような気温の高い夏場はわずかな油断で、ご遺体
から異臭が出たり、顔を色が変色しやすいものです。
葬儀社としてご遺体保存の責務がある以上は細心の注意を払って
います。
多くの皆様においてご遺体の保存といえば、「ドライアイス」を
使用するというイメージが強いのではないでしょうか。
実は、ドライアイスが主流になる前の時代は氷で冷やしていました。
氷の最大の欠点は固体から液体に変化してしまうことです。
つまり、温かくなってくると水浸しになってしまうリスクが
あるのです。
固体から液体を経ずに気体になってしまうという性質を持つ、
ドライアイスは画期的な保存剤でした。しかも、氷点下0℃まで
しか冷えない氷よりもマイナス30℃まで冷やすことが出来る
ドライアイスは本当に優れものです。
そのドライアイスも今は使用をする葬儀社がだんだん少なくなって
しまっています。使われなくなっている最大の理由は
コストが高いということです。
さらに、二酸化炭素の固体であるドライアイスは環境に対する意識が
強くなった現代において逆風が吹いています。
そこで現れたのがご遺体用の冷蔵庫であったり、繰り返し使用する
ことの出来るご遺体保冷用の蓄冷材・保冷剤です。
これらを使用することにより、コストダウンを図ることが可能になって
きました。
結果的にドライアイスに代わるものを使用している葬儀社が年々
増えています。
ドライアイス以外の方法でご遺体の保存をすることが主流となって
きても、ドライアイスの在庫を完全にゼロに出来ないのです。
一つの理由はやはり、短時間で強力に冷却しなければ、都合の悪い
ケースなどがあります。例えば、血液が止まらなくなってしまい血液を
凍らせて止血をしたい時でご遺体の腐敗がかなり進んでいる
時などです。
そのような時ははやはり、ドライアイスが頼りなのです。
さらに、葬儀屋さんに行けばドライアイスが手に入ると思われている
のでレジャーなどのちょっとした量の使用に対して、お客様から分けて
欲しいというご依頼が結構多いのです。また、ペットが亡くなった時も
少量欲しいというご依頼も多くあります。
地球環境やコスト面のことだけを考えるとドライアイスは劣勢ですが、
ドライアイスの利点は結構多いものです。
今後も様々なドライアイスに代わる保冷剤等が開発されると思います。
より便利に、そしてコスト面でも満足出来るレベルのクオリティーを
併せ持つ、新商品の誕生は待ち遠しいものです。