生まれて来てくれてありがとう。
「お父さんとお母さんの子供に生まれてきて
くれてありがとう」
この気持ちは親ならば、少なくとも一度や二度口にするわが子に
対する感情ではないでしょうか。
しかしながら、この言葉を喪主の挨拶の中で聞くととても胸は締め付け
られる想いがします。
人は誰もが必ず死にます。
これだけは人が人で生まれてきた以上避けては通ることのできない
宿命です。しかし、通常逆縁といいますが、死ぬ順序が逆になると
親が子のお葬式を出すことになります。
これがなんとも辛いのです。
先ほどご紹介した言葉は成人していない子を持つ親や子に対して
感謝の気持ちを述べた言葉です。号泣というか慟哭というか、
とにかく悲しみのどん底にいる方を表現する言葉さえも見つからない
ような深い深い悲しみの中で発した言葉は参列していた方すべての
方の心に響いたでしょう。
私の著書
「感動葬儀。心得箇条」の中でも触れて
いますが、親孝行というのは絶対に親より一分一秒でも
長く生きること。逆に親不孝というのは親より一分一秒でも
早く亡くなることに尽きるのです。
葬儀の現場では今日も亡くなる順序の違うお葬式が日本は
もとより世界中で行われているのです。
「生まれて来てくれてありがとう」
という言葉はお葬式の現場では聞きたくない
親や子に感謝する究極の言葉なのです。
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