今回の大震災で亡くなった方々の捜索は震災から一ヶ月以上たった
今でも難航しています。必ずしも行方不明者が見つかる保障もなく政府は
行方不明3か月で死亡認定をする特別の措置を
検討しているとのことです。
残された2ヶ月弱で少しでもご遺体の捜索がスムーズに行なわれ、
一人でも多く発見し、丁重に弔うことができればよいのですが。
今回、津波の巻き込まれ命を落とされた方が発見された姿は
携帯電話を握りしめたまま亡くなっている姿や子供を抱きかかえた
姿で発見された母親の姿。
一瞬に巻き込まれた恐怖にまさに最後まで立ち向かっている姿なのです。
この姿を想像するだけでも私たちは悲しい気持ちになります。
死に顔という顔はまさに
人生最後の瞬間を語っています。
自殺をされた方のご顔はどなたも苦しそうな表情をしていますし、
今回のような津波に巻き込まれお亡くなりになられた方は
一様にびっくりした顔をされています。
反対に家族に囲まれて寿命をまっとうされお亡くなりになられた方の
お顔は実に穏やかなお顔をされています。
私は葬儀という仕事を通じこれまでに
8000人くらいのご遺体と
対面してきました。
これだけの方のご遺体に接していると病死の場合でも
肌や顔の色や表情を見ただけでほとんどの場合、死因が解ってしまいます。
見分け方をくわしく書くのは差し控えますが、顔の表情はとても
大切なポイントです。死体は語っているのです。
私が何度出会っても心が痛くなるご遺体は
火事で命を落とした親子のケースです。
親は必ずといっていいほど、子供を抱きかかえた状態で体が丸くなって
います。そして大抵の場合真っ黒こげに焼けています。
そして、抱えられている子供はほとんど焼けていない状態で
発見されるのです。
親が子を守るという人間としてというよりも動物として当たり前の行為に
感動し、そして親子の
無念さを思うと心が痛くなるのです。
誰もがおだやかな顔で最期が迎えれられることが理想ですが、実際には
おだやかなお顔の死に顔は全体からみれば少数なのです。