人生の終わりを見つめる「終活」の活動の中で、「死」に対する様々な
備えを提唱してきましたが、近年は「死」に対する備えよりも前に、
「認知症」になったらどうしようというリスクを終活の専門家も盛んに
語るようになってきました。
法的には成年後見制度(せいねんこうけんせいど)があり、
民法に基づく法定後見と、任意後見契約に関する法律に基づく任意後見
は大きく2種類の方法があります。法定後見は家庭裁判所が指定をした
弁護士や司法書士が後見人となり、その人の財産等を守る役目が
あります。
これに対して任意後見制度は任意後見制度に基づき、一定の条件を
満たせば誰でも後見人になれる制度です。
法定後見の場合は実の息子や娘であっても、勝手に親の財産を処分
できなくなることになり、財産を守られることは良いのですが、
不便さを感じずにはいられない制度です。
2025年には認知症になる方が700万人を超えるとの予測を
厚生労働省が出しています。5人に1人が認知症を患う計算です。
これだけの人が認知症になり、正常な判断ができなくなることで、
備えをしておくことは非常に大切なことですが、ご年配の方は
結構聞き飽きている感があるのです。
所々で開催されるセミナーでも成年後見のお話が多いのですが、
本質は自分はボケないという根拠のない自信と死と同等に
自分にとって都合の悪いことは先送りしたいという心理が働くのです。
そして、一番の本質は制度そのものが難しいと感じる高齢者の方
が多いのも事実。いくら有効な制度でも利用がなければ意味が
ありません。
超高齢者社会の現代では老いも若きも他人事としないこと。
自分の周りにリスクはたくさんあります。
死に対する備え同様に、認知症対策も大切なことなのです。