緊張感

フューネ三浦

2013年04月04日 09:15

最近、名古屋港水族館(名古屋市港区)のマイワシがたるんでいると

いうことで穏やかな環境に慣れたマイワシに活を入れるため、

天敵のクロマグロ15匹を投入するというなんともたるんだニュースが

3月末に地元のマスコミが取り上げていました。

渦状になってえさを食べる「マイワシのトルネード」が売りの黒潮水槽なのに、

ニュースによると群れから離れはぐれてしまうイワシが出てきたそうです。

担当飼育員はインタビューで

「『どうせ自分たちは食べられない』と気づき、

油断しているのではないか」
と語っているのだとか。

緊張感の無いイワシの出現というのはなんともおかしいのですが、

食べられないことに気づくイワシは「頭が良いなぁ」なんて

変なことに感心してしまったニュースでした。




さて、緊張感が無くなってしまい油断した時に事件や事故が起きるのは

人間社会も同じです。しかも今も昔も。

古典である「徒然草」第109段に『高名の木登り』というお話が

あります。

木登りの名人である「高名の木登り」と云った男が、人に指図して

高い木に登らせ梢を切らせた時の話です。

その人が大変危険に見えた間は「高名の木登り」は何の注意の言葉も

言わず、その人が木を下りる時に、家の軒先くらいの高さになって初めて

「けがをするなよ。用心して下りなさい。」

と声をかけたのです。
 
「私(吉田兼好)」は不思議に思って、「高名の木登り」に対して

「これくらいの高さになれば飛び降りても下りる事が出来るだろう。

なぜそう言うのか。」と尋ねたところ

「そのことでございます。目がくらんで、枝が危ないうちは、自分が恐れて

いますから何も申しません。間違いは易しいところに

なって、必ずしでかすものでございます。


と答えたのです。




難しい危険な高いところを登るときは,当事者も入念な注意を払いますが

それをやり終えた後、緊張の糸が緩みうっかり油断し、けがや事故

につながってしまうという人間の心理を巧みについた話になっている

古典の名作ですが私たちの仕事や日常生活においてもまさに

その通りなのです。



先月、フューネでも続いた病気での欠勤や交通事故。

目に見えない緊張感の欠如が原因かもしれません。

程良い緊張感を持っていることは何事も大事なことであると

改めてイワシに教えて頂きました。

間違っても天敵に食べられないように緊張感をもって日常生活を送らな

ければいけません。




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