コロナ禍の中で、感染予防の観点から「非接触」ということに注目が
集まりました。お買い物の際にコロナ禍以前ではレジにて金銭の授受も
店員さんの手に直接のやり取りをしていたのが、トレーの上での
やり取りに変わり、おつりも直接頂くことが少なくなり、
あくまでもトレーの上でのやり取りになってしまいました。
また、クレジットカードも以前は店員さんに直接にカードを渡していた
のが、カードリーダーに客は自身で通さなくてはならないと
いったことが多くなりました。
非接触にはなったことで何とも寂しさが残る、お買い物でのやりとりに
なってしまいました。
お葬式の現場でご遺族が以前よりも圧倒的に減ったのは
ご遺体への接触です。
これはコロナ禍以前より年々減っていたのですが、コロナ禍で加速して
しまいました。
そもそも、ご遺体を物質的に捉えるならば各種の雑菌の塊であり、
放置しておけばすぐに腐敗が始まってしまうということから決して
衛生管理の観点で言えば、接触することを推奨するような物質では
ないのですが、ご遺族にとっては物質としての「死体」ではなく
「ご遺体」であるということがとても重要なことなのです。
亡骸は「生きている人」と同様に扱うことは葬儀社の社員として
基本中の基本でありもしも「死体」として扱ったならば、死者に対する
冒涜に繋がるのです。
ですから、ご遺体を触ることはとても大切なことで衛星的には
褒められない行為かもしれませんが「素手」で触ることが基本でした。
コロナ禍でご遺体に限らず生きている人でさえ、素手ではなく
手袋をした手でしか触らないような各種の事例が多々ありますが、
コロナ禍が終焉しても「素手」で触ることそのものがいけないこと
であるという観念が残ってしまうことは十分に考えられることです。
非接触は間違いなく、人と人との距離を遠ざけてしまいます。
コロナ禍の今は仕方のないことかもしれませんが、コロナ禍が
終焉したら、「素手」で接触できる人間関係は多くの人と維持して
いきたいものです。
お葬式は元来、「素手」と「素手」を絡めあうことの出来る人々の
人間関係を感じる場であるのです。