2009年08月20日

寺請制度

江戸時代の徳川幕府の施策である「寺請制度」(てらうけせいど)

をご存知でしょうか?

キリスト教禁制を徹底させる目的で、人々を寺院に帰属させ、

キリスト教信者でないことを寺院に証明させた制度で

檀家(だんか)制度とも呼ばれています。

お寺の檀家になることは江戸時代では強制事項

たとえ、宮司や禰宜などの神職の方でも

江戸時代は必ずどこかの寺院の檀家に属さなければならず、

お葬式も仏式を強制させられていました。

つまり、江戸時代の人々は必ずどこかのお寺の壇信徒にならなければ

いけなかったのです。

寺院では現在の戸籍に当たる「宗門人別帳」が作成され、

出生・死亡・旅行・移転・婚姻・奉公などの戸籍の変更は

寺院が管理していました。

その他、旅行や住居の移動の際には

証文(寺請証文)が必要とされ、

寺院が現代の役所の業務をしていたのです。

さらに現代での警察的な役割もあったのです。

今でも自宅のお仏壇にお寺さまが月命日に

お経をあげて頂く、一ヶ月に一度の

「月参り」も本来の目的とは別に

生活を監視する目的もありました。

隠れキリシタンは居ないか、一揆の企てはないかと。

江戸時代の寺請制度が先祖代々

その家の宗教として受け継がれたことにより、

現代でもお葬式の約8割は仏式で行ないます。

もともと日本は神の国ですから、本来は神式のお葬式が仏式よりも

多くなければおかしいのですが、

現代でも仏式が圧倒的に多いのは江戸時代より

供養は仏式という構図が出来上がってしまっているからなのです。

ご承知の通り、

現在の日本国憲法では宗教の自由が保証されており、

信仰は仏教に限らず、

自分自身の信仰している宗教が認められるようになりました。

それに伴い、お葬式も様々な宗教での形式が増えてきています。

さらに近年、家族だけでお葬式をすることを希望される方が

急速に増えてきていることも

お寺さまにとっては大変厳しい時代に突入しているのです。

この先、どんなに時代になろうとも、お葬式の形態が変わろうとも

「ご先祖さまを敬う気持ち」

だけは変わってはならないと思います。






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