2015年10月27日

戦後70年目の弔い

日本という国を取り巻く環境は間違いなく変化しています。

大雑把にいえば「戦後」という言葉でまとめられていた数々の

物ごとが憲法をはじめ、戦後に生まれたルールや価値観が

戦後70年経った今、壊れかけています。戦後アメリカやソ連を

見ていた世界的な世論が今、中国や中東の諸問題に向かって

いるし、私たちの価値観も何もかも物資が不足していた戦後から

豊かすぎる物資に恵まれ、逆に何も無かった時には確かにあった

他人を思いやる心のほうが失われているのも現実ではないでしょうか。



お葬式に代表される「弔い」という礼法さえも、70年の経過の中で

本当に変化をしています。戦中・戦後の何も無かった時代に大切な

人が亡くなっても満足な弔いができなかったというハングリーさが

高度成長期に入り物が豊かになっていく中で祭壇は立派に、料理は

ご馳走でいう日本の葬送文化の価値観が形成されました。

バブル期にはこれがさらに輪をかけて人々は「見栄」や「世間体」を

気にするようになり、葬送文化は豪華絢爛の時代でした。

これが21世紀に入り、物の豊かさの中で忘れられた心の豊かさを

人は求めるようになり、葬儀に義理で弔問にお越しなる人々に何の

価値があるのかと気づきはじめ、結果的にお葬式から他人を排除

する傾向に風が吹くようになり、家族だけで弔いをすれば充分という

新たな価値観が生まれました。

現代は家族だけのお葬式すら不要ではないのかという疑念を持って

いる方も増えてきているのです。

弔いの価値観は「戦後」のそれとは明らかに違う価値観に到達して

いるのです。

しかしながら、地域のしきたりや伝統が根強く残っている地域もあり、

人々の価値観の違いがお葬式の現場で様々な諍いを生むように

なってきているのです。




戦後まもない時代背景で作られた法律をはじめとしたルールが

全く時代錯誤になっているように「弔い」もその価値観において

時代錯誤が多く発生しているのです。

特に心の豊かさを求めているからこそなのか、不要で価値を

見いだせない宗教観においてはそれが顕著です。

どんな時代になろうとも「弔いの心」そのものが無くなることは

絶対にないのですが、価値観は今後も絶えず変化していく

ことでしょう。また、その変化をいち早く察知し、お客様の

求めていることを商品として提供することが葬儀社の役割でも

あるのです。






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Posted by フューネ三浦 at 09:27 │コメントをする・見る(0)お葬式の知識
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