2014年10月25日

北枕

人がお亡りなると、ご遺体として安置をしなければなりません。

葬儀社としてその際、一番意識をしていることは方角です。

一般的に北に頭を向ける恰好で安置をします。

これは仏教の祖であるお釈迦様がお亡くなりの際、北の方角へ

頭を置いて横になった“頭北面西”(ずほくめんさい)

いわれることから来ています。つまりお釈迦様がお亡くなりに

なった姿を真似ているのです。お釈迦様がお亡くなりになったことを

仏教用語で「入滅(にゅうめつ)」と言います。

入滅とは煩悩の炎が吹き消えた状態、宗教的解放を意味する解脱の

ことなのです。このような状態になるのが「死」とも言えるのです。




大原則、北に頭を向けて安置するのですが、安置する部屋の都合で

北側に頭を向けることが出来ない場合もあります。

そのような場合は「西」に向けるのです。これは前述の

頭北面西”(ずほくめんさい)の理屈を用いてお釈迦様がお亡くなりの

時に顔が西を向いていたことに由来するものです。

また浄土宗系の宗派ではあの世は真西にあると考えられていますの

で西を向くことは良いと考える宗派もあります。




葬儀会館での葬儀が全盛の昨今、ホールの都合で頭を北にも西にも

向けることができないホールも存在します。立地上仕方のないところ

もありますが、やはり、葬儀会館としては不完全です。

しかし、祭壇がある方が北とみなし、祭壇に向かって左側に頭を向ける

ことで西枕にするといったケースもあります。また、祭壇に向かって

右側に頭を向けるほうが上座だといわれるお寺様もいらっしゃり、

結構、葬儀社によって葬儀会館内の方角はまちまちなのです。



北枕は縁起が悪いと昔から言われてきましたが、縁起なんてものは

その人の考え方次第ですべて決まるものです。

方角の意識はお客様も最近ではあまり気にされなくなってきたのも

事実です。様々の考え方の中で「北枕」は案外少数派なのかも

しれません。














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