2013年11月10日

地域の弔問客

「今日は家族葬だから葬儀に行かなくていいや」

先日、お邪魔した町内会の区長さんから言われた何げない一言ですが、

私はとてもショッキングでした。

このほんの数年前までこの町内会では家族葬の通知が来る度に、

「地域の人を排除して葬儀をするなんてけしからん。」

と町内会の役員の皆さまが憤慨していました。

ところが、今は「家族葬」は弔問に行かなくて良いからラッキーくらい

の感覚になってきているのです。

「慣れ」は恐ろしいものだとつくづく思いました。




そもそもお葬式にとって「地域」の協力は不可欠でした。

江戸時代の村八分という村の掟を破って者を懲戒の意味合いで

仲間はずれにする施策でも残りの二分である「火事」と「お葬式」は

別でした。お葬式は地域が運営するものであり、今でもその名残として

地域の町内会長さんや地元の議員、組長さんは焼香順位でも上位で呼ぶ

という地域が多いのです。

時代の流れとともに地域がお葬式のすべてを仕切っていた時代から

葬儀の備品を貸し出す「葬具屋」という専門業者が現れ、さらに

私たちのように葬儀の一切をプロがすべて取り仕切る「葬儀屋」

誕生し、現代は葬儀会場まで提供する「葬儀会館業」となっています。

その過程で葬儀の運営に「地域」が関わらなくても葬儀を運営する

ことができるようになりました。

その結果、地域の皆さんはお客様として弔問だけ参加すればよくなり、

そして、弔問さえもお断りをされてしまう時代へと時代が移り変わって

います。


家族葬が増えてきたのは葬儀社のサービス向上に伴い、「地域」の方の

援助を必要としなくなったことは大きな要因の一つだと思います。

地域の絆が葬儀において必要無くなった為、家族葬という選択が

出来る方が増えたのです。

しかしながら、まだまだ葬儀以外では地域の絆が必要な場面は日常の生活に

おいて多々あります。問題は葬儀を発端に地域の絆を自ら断ち切ってしまう

ようなことが起きてしまうことが葬儀社から見るとなんとも残念でなりません。

本来、葬儀を通じて地域の絆をより強固なものなっていくものなのです。

一口に家族葬といっても様々なケースがあります。

会社関係のご弔問をお断りをしても、地域の方の弔問をお受けするという

家族葬もできますし、実際そのような家族葬は本当に多いのです。

何が何でも地域の弔問客を排除するということは賢明な選択ではないことだけ

は確かなことです。









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Posted by フューネ三浦 at 09:11 │コメントをする・見る(0)お葬式の知識
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