2016年06月05日

黒いネクタイ

私が葬儀の仕事を志した駆け出しの頃、先輩社員から

「葬儀社の社員なら黒いネクタイをして飲食店に入らなきゃ」

ということを教えられました。

葬儀社の社員としての黒いネクタイをすることに卑屈にならず

誇りを持ってという教育的な意味合いも含まれていたことは

事実なのですが、現代では全くピントのずれた教育ではないかと

感じます。

黒い色というものは欧米の文化では弔意を表す色であり、洋服に

合わせるネクタイは当然黒色ということになります。

ちなみに、日本では弔意を表す色は「白」です。

くわしくは2008年3月19日付記事「お葬式の幕」をご覧ください。



現在、フューネでは基本的には黒いネクタイを着用してお客様の

ところにいくことはありません。通夜・葬儀において一部の社員が

弔意を表す為に黒いネクタイを着用することはありますが、それも

一部であり、基本的に制服かダークスーツを着用しています。

弔問にお越しなられるお客様は大方の場合は黒い服で黒いネクタイ

を着用していますが、おもてなしをする側の私たちが黒い服を着用

するとお客様との見分けがつかなくなってしまうものです。




最近ではお客様も黒の略礼服を着ずに普通のスーツに弔意を表す

為に黒いネクタイを着用された状態でお越しになられる方が増えて

います。もちろん正式な服装ではないのですが、ネクタイだけを変える

ことで弔意が表せる便利さはあります。



クルーズビスの普及に伴い、半年間もノーネクタイで過ごすことに

すっかり慣れてしまったビジネスマンにとって夏場の黒いネクタイの

着用は苦しいものです。今後はクルービスの発展で黒いネクタイさえも

簡略化されて、お葬式から黒いネクタイが消滅してしまう時代が

もしかしたら来るかもしれませんね。